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zoom RSS 「空の怪物アグイー」大江健三郎著

<<   作成日時 : 2011/01/23 23:14   >>

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画像おそろしげで圧倒的な迫力を持ちSFテイストも備えた難解な作品。
と誤解してしまいそうなタイトルに反して、じつは、脈打つ文体に繊細さと叙情をにじませた、著者20代の若々しいイマジネーション豊かな短編集である。

ってなことで前向きに評価できるのも、10代のときに読んでさっぱり分からんかった本書を、40歳を越えてあらためて読み直したおかげである。

題材もテーマもふいんきもバラエティ豊かで、おそらく、いまやノーベル賞作家である著者が、ちょっとした経験や読書からどんどん沸くアイデアや意欲に任せてもりもり生み出した作品群なのではないか。

どれくらいバラエティに溢れているか、自分の備忘も兼ねて、収録されたそれぞれの作品をひとことずつでまとめてみる。そんな無茶な。


「不満足」:騒然とする戦後すぐの社会を背景に、理屈もへったくれもない若者の無軌道な行動を描く。イメージはアナーキーのノット・サティスファイド。

「スパルタ教育:正体不明の新興宗教による脅迫にさらされる若い写真家の限界行動。

「敬老週間」:根拠の無い若者の楽観主義を射抜くブラックユーモア。

「アトミック・エイジの守護神」:慈善家の皮を被った香具師、の皮を被った真意不明の人を、真意不明なまま、まるごとバナナ。

「空の怪物アグイー」:若者が10年経って蓄積した歪みが中年の入り口で溢れ出す叙情なキチガイ。

「ブラジル風のポルトガル語」:原因不明な集落の集団脱走を追う主人公の二人がやや常軌を逸していて脱走者と妙にシンクロする。

「犬の世界」:小市民的な作家夫婦が接する単純な暴力の支配する世界。ほとんどホラー。


いずれも1960年代の世相を背景にしながらも、なんかおかしい主人公とか、変な設定とか、怪しい展開とか、どこかマトモでない点が、いま読んでも、現実生活の違和感と妙にマッチする。こういう作品の面白みは、現実世界である程度ヒドイ目に遭わないと、われわれ普通の人には分からないですね。

誰だティーンだった自分に「大江健三郎は読むべき」とかそそのかしたヤツは。いや実は憶えていて、1コ上のめちゃめちゃ優秀だった先輩だ。

当時、作品の内容もさることながら、解説にもそーとー参った。解説の末尾はこうだ。

 以上に見てきたように、この時期の七編の短編は、批判意識をともなって、現代的人間の内奥の穴ぼこの探求に向っている。恐怖という穴ぼこ、非存在の陰の世界につながる実存的欠如感への注目それ自体が、現代のさまざまな−−−政治的・技術的・未来学的−−−オボチュニズムと、さまざまな−−−エロチスム的・神秘主義的・風俗的−−−ニヒリズムへの批判である。


・・・わかんねーって!



(昭和47年発行・昭和54年購入、新潮文庫)

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