「イビサ」村上龍著

画像謎めいたタイトルは地中海に実在する島の名前から採られたものだ。
かつてヒッピーの聖地と呼ばれたその島のキチガイな風俗にインスパイアされて、村上龍さんが渾身のキチガイをキメまくったアッチ方面の奇作。

ストーリーはシンプルで、主人公である若い女性が、パリ→モンテカルロ→モロッコ→バルセロナ→イビサ、と遍歴し身の破滅に至る、というものだ。いまふと書いた“身の破滅”というのは、主人公自身はぜんぜん不幸だと思ってない点を含めて、じつは言い得て妙な結末である。と自己満足。

あんまりネタバレするのも営業妨害なので、興味のある方は自身で書店にてすごくキチガイな結末をご確認ください。なお、テーマは、セックス&ドラッグ&オカルト、この三拍子である。

基本はその三本柱だとしても、安っぽいポップカルチャーみたくコンセプトだけ先走ったものではなく、ディティールがリアリティーあるんで、浮世離れしたシーンでも迫力が生まれるのが、村上龍さんの作品の特長である。

前半パリの章より引用:
・・・その金色のサンダルにしても日本ではあまり見られないものだった。日本の田舎町の、例えば取手とか川越とかの、ほとんど学歴のないホステスが、リラックスしてヒモの男と昼間に焼き魚定食を食べに行くときに好んで履く金色のサンダルは基本的にビニールでできている。ビニールに金色の塗料を吹きつけて、踵をうんと高くしたものだ。・・・

引用終わり。パリのバーと取手のキャバレーがシームレスに(^_^)つながるこの対比。この集積が、本書に限らず、村上龍さんのキチガイ系の作品を支えている。かどうか知らん。

2009年現在、村上龍さんは表向きすっかり更生してTV番組「カンブリア宮殿」で企業の経営者にビジネスの秘訣を尋ねたりしてても、本質はバリバリのキチガイで、源流は「コインロッカー・ベイビーズ」だと、当記事の筆者は勝手に思ってる。


(平成7年発行・平成10年購入、講談社文庫)





ちなみに、本書を読むと、パリはマフィアとかオカルトが跋扈するめっさデンジャラスな町で、一見さんが観光で行くと半分は帰って来れないみたいに思える。ガンスリンガーガール観るとイタリアで日常的にテロと銃撃戦が起きてるみたいなイメージが湧くのと同じでさ。

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