「だいじょうぶマイ・フレンド」村上龍著

画像村上龍さんの著作の中でもごく珍しい、ファンタジーぽいSF小説。ある日とつぜん空から落ちてくる、タキシードを着込んだ不死身の宇宙人、っていう見かけ明るい設定と、ビスケットを主食とする敵などの軽い人物造型。

に騙されて、序盤のあまりの能天気っぷりに、当記事筆者は本書を最初の50ページくらいで投げ出して、そのまま20年以上放りっぱなしにしていた。

今回ナナメ読みだけど読みきった(^^)!

SF小説の体裁を借りてても、道具立てに作品の風化を恐れずに身近な商品名や風俗描写を登場させている。

身近な商品名はたとえば序盤では、コルゲート歯磨・BVDブリーフ・カナダドライジンジャエール・ボルボのワゴン・森永チョイスビスケット、といったようなもので、対極のぶっ飛んだ設定&ストーリーとごちゃまぜになって全体がサイケデリックな様相である。

ふいんきは、ちょうど、この数年TVで放送しているサントリーBOSSのCM「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」ぽい。本書が元ネタかと思うくらい。じつは今回読み通そうと思ったのは、このCMが本書を連想させたってのもある。

でなんとか読みきったストーリーが、ぜんぜん予想と違っていた。


(以下ネタバレ含む/20行空白)





15




10




5




後半はぜんぜんハッピーじゃなくって、ラストもあんまり救いが無い。

だいじょうぶマイ・フレンド、なんて人類皆兄弟みたいなゆるいタイトルだって、これ、敵組織によって改造されて従順になった人達が仲間に対して使う言葉である。「失敗したり、欠点があっても、だいじょうぶ、ぼくたち、友達だよ」みたく。とってもネガティブ。てっきり、主人公が使うキメ言葉だと思ってました。

こんなライトな設定と文脈でこんな暗い話だなんて、ほんとの怪作である。


なお、正面切って評価しにくいこういう怪作の解説は、やっぱりというかなんというか、高橋“文学王”源一郎氏がどうでもいいようなことを書いている。


(昭和60年発行・購入、集英社文庫)

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