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zoom RSS 「メロンと鳩」吉村昭著

<<   作成日時 : 2011/05/29 23:49   >>

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画像短編集である。
著者は長編では「戦艦武蔵」「破獄」など歴史や事件に取材した骨太な作品で知られるのに対して、この短編集はタイトルでイメージされるようにやや趣向を変えて叙情的なメルヘン色があふれている、

かと思ったらそんなことはなく、表題作は死刑囚の執行日前後を描いたもの。“メロン”は死刑囚への差し入れであり、“鳩”は慰めのために飼うことを許したら執行日に絞め殺してしまった、というストーリーである。メルヘンではなくヘルメン(地獄の男たち)。←おっさんギャグであるうえにタチが悪い。

じつは、収録作10編のうち、前半は生と死の瀬戸際に在る切迫感が濃く、後半は著者のおそらくは実生活に近いほのぼのした空気が占めている。そういう意味では、前半が“メロン”で後半が“鳩”である。しつこいわたくし。

収録作の中では、登場する出所者の罪歴や挙動が個人的にシャレになっていない「苺」(~o~<タイトルで推測してください)は置いといて、圧巻は「島の春」である。

イヌを連れて自殺の名所に佇む熟年男性と、警官である義父に頼まれてその男に声を掛ける少年。その場面の空気が、男性の倦怠と少年の純朴と田舎の長閑がまじりあって全体に緊張感がハンパない。
結末の文章が印象的である。いちばん最後に引用しておきます。

あと、テキストが読みやすい。過度に装飾的でも情緒的でもない戦後昭和の日本語である。くたびれた40代には、テーマ・文体とも、いま読み返すには適切であった。


並行して戦後すぐの翻訳ものを読み返していて、ちょっとオーバーアクションな訳文で読みにくいんだよなあ。



(平成元年発行・平成2年購入、講談社文庫)






「島の春」末尾

「もうやっている」
 神主の息子が、再びつぶやいた。

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